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猫背・巻き肩が気になる方へ。ピラティスでは原因にどうアプローチする?

「姿勢を良くしよう」と思って胸を張っても、気づくとまた背中が丸くなっている。
肩が内側に入り、首が前に出て、写真を見たときに“疲れて見える”と感じる。

そんな猫背・巻き肩のお悩みは、単に「姿勢が悪いから」起きているわけではありません。多くの場合、胸まわり・背骨・肩甲骨・呼吸・体幹の使い方が関係しています。

ピラティスでは、無理に姿勢を固定するのではなく、身体が自然と良い位置に戻りやすくなるように整えていきます。


猫背・巻き肩が起こる主な原因

猫背・巻き肩は、長時間のスマホ操作やデスクワーク、前かがみ姿勢の積み重ねによって起こりやすくなります。背中が丸くなる「胸椎の後弯」や、頭が前に出る姿勢、肩が前に入る姿勢は関連して見られることがあり、運動によって姿勢角度の改善が見られたという研究報告もあります。

特に関係しやすいのは、次のような身体の状態です。

1. 胸まわりが硬くなっている

巻き肩の方は、胸の前側、特に小胸筋や大胸筋まわりが縮こまりやすくなっています。胸の筋肉が硬くなると、肩甲骨が前に引っ張られ、肩が内側に入りやすくなります。小胸筋ストレッチと肩の安定化エクササイズを組み合わせることで、肩甲骨の動きや肩まわりの機能改善に役立つ可能性が示されています。

2. 背中の上部が動きにくい

猫背の方は、背骨の中でも胸の後ろにあたる「胸椎」が丸まったまま固まりやすいです。胸椎が伸びにくいと、いくら肩を後ろに引いても、すぐに元の丸い姿勢に戻ってしまいます。

3. 肩甲骨を支える筋肉が弱くなっている

肩甲骨は、背中にただ張り付いているだけではなく、腕の動きや姿勢を支える大切な土台です。巻き肩では、肩甲骨を背中側で安定させる筋肉が使われにくくなり、肩が前に落ちやすくなります。

4. 呼吸が浅くなっている

猫背姿勢では、肋骨まわりが縮こまり、呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅いと、首や肩に余計な力が入り、さらに肩こりや巻き肩を助長することがあります。

5. 体幹で支えられず、首・肩で頑張っている

本来、姿勢はお腹・背中・骨盤まわりの体幹で支えるものです。しかし体幹が使いにくい状態だと、首や肩で姿勢を保とうとしてしまいます。その結果、肩が上がる、首が前に出る、背中が丸まるといった姿勢につながります。


ピラティスでのアプローチ

ピラティスでは、猫背・巻き肩に対して「胸を張る練習」だけをするわけではありません。
大切なのは、硬い部分をゆるめ、動きにくい部分を動かし、弱くなっている部分を使えるようにすることです。

流れとしては、主に次のように進めます。


1. 呼吸で肋骨と背中を広げる

最初に行うのは、深い呼吸です。
猫背・巻き肩の方は、胸の前側が縮まり、背中や肋骨の動きが小さくなっていることが多いため、まずは呼吸で身体の緊張をゆるめていきます。

具体メニュー例:ピラティス呼吸

仰向け、または座った状態で、鼻から息を吸い、肋骨を横や背中側に広げます。
吐くときは、お腹を薄くするようにして、肋骨をやさしく閉じていきます。

この呼吸によって、首や肩に入っていた余計な力を抜き、体幹を使いやすい状態に整えます。

目的:
肩の力を抜く、肋骨を動かす、体幹のスイッチを入れる。


2. 胸椎を動かして、丸まった背中を整える

次に、背中の上部を動かしていきます。
猫背の方は、背中を反らす動きや、胸を開く動きが苦手になっていることが多いです。

具体メニュー例:キャット&カウ

四つ這いになり、息を吐きながら背中を丸め、吸いながら胸を前に広げます。
腰だけで反るのではなく、背中の上部がなめらかに動くように意識します。

具体メニュー例:ソラシックエクステンション

フォームローラーやリフォーマーを使い、胸椎をやさしく伸ばします。
背中の上部が伸びることで、肩が後ろに引きやすくなり、首も長く保ちやすくなります。

目的:
背中の丸まりをゆるめ、胸を自然に開きやすくする。


3. 胸の前側をゆるめる

巻き肩の方は、胸の筋肉が縮こまっていることが多いため、胸を開くストレッチを行います。

具体メニュー例:チェストオープン

横向きや仰向けの姿勢で、腕を大きく開きながら胸の前を伸ばします。
無理に肩を押し込むのではなく、呼吸に合わせて少しずつ胸を広げます。

具体メニュー例:リフォーマーでのアームオープン

リフォーマーのスプリングの抵抗を使いながら、腕を横に開く動きを行います。
胸を広げるだけでなく、肩甲骨が正しく動く感覚も身につけていきます。

目的:
内側に入りやすい肩を、自然に開きやすい状態へ整える。


4. 肩甲骨を安定させる

胸まわりをゆるめた後は、肩甲骨を支える筋肉を使っていきます。
ここで大切なのは、肩を無理やり後ろに引くことではありません。肩甲骨が背中の上で安定し、腕を動かしても肩がすくまない状態を作ることです。

具体メニュー例:チェストエクスパンション

リフォーマーに座り、ストラップを持って腕を後ろに引きます。
胸を開きながら、肩甲骨を背中側にやさしく寄せ、首を長く保ちます。

このメニューは、巻き肩改善にとても相性が良いエクササイズです。肩を下げ、胸を広げ、背中側の筋肉を使う感覚を身につけられます。

具体メニュー例:ローイング

座った姿勢でストラップを引き、肩甲骨を後ろに引き寄せます。
デスクワークで前に入りやすい肩を、背中側から支える練習になります。

目的:
肩甲骨を正しい位置で支え、巻き肩に戻りにくい身体を作る。


5. 体幹を使って姿勢を支える

姿勢を良くするには、背中だけでなく体幹も重要です。
体幹が働かないまま胸だけを張ると、腰を反らせすぎたり、肩に力が入ったりします。

具体メニュー例:ハンドレッド準備

仰向けで膝を立て、呼吸に合わせてお腹を薄く保ちます。
首や肩に力を入れず、腹部で身体を安定させる練習をします。

具体メニュー例:デッドバグ

仰向けで手足を動かしながら、腰や肋骨が反りすぎないようにコントロールします。
猫背・巻き肩の方は、肋骨が開きやすかったり、腰で姿勢を代償しやすかったりするため、体幹の安定性を高めることが大切です。

目的:
首・肩ではなく、お腹と背中で姿勢を支えられるようにする。


6. 日常姿勢に落とし込む

ピラティスで整えた姿勢は、日常生活で使えるようになってこそ意味があります。
たとえば、座るとき、スマホを見るとき、パソコン作業をするときに、肩や首だけで頑張らない姿勢を覚えていきます。

Cleveland Clinicも、姿勢改善では座り方・立ち方・動き方への意識など、日常生活での習慣が大切だと説明しています。

日常で意識したいポイント

スマホを見るときは、画面を少し高く持つ。
パソコン作業では、肘を軽く曲げ、肩がすくまない位置にする。
座るときは、骨盤を立て、背中を固めすぎずに長く保つ。
1時間に1回は立ち上がり、胸を開く動きを入れる。

ピラティスのレッスンでは、こうした日常動作まで含めて、姿勢が戻りにくい身体づくりを目指します。


レッスンでの具体的な流れ

猫背・巻き肩が気になる方の場合、レッスンでは次のような流れで進めることが多いです。

例:60分レッスンの場合

1. 姿勢チェック

横から見たときに、耳・肩・骨盤の位置を確認します。
肩が前に入っているか、首が前に出ているか、背中の丸まりが強いかを見ます。

2. 呼吸と肋骨の調整

仰向けで呼吸を行い、首・肩の力を抜きます。
肋骨が開きすぎていないか、背中側に呼吸が入るかを確認します。

3. 胸椎の可動域アップ

キャット&カウや胸椎伸展の動きで、背中の上部を動かします。

4. 胸まわりのストレッチ

チェストオープンやアームオープンで、縮こまった胸の前側をゆるめます。

5. 肩甲骨の安定化

チェストエクスパンションやローイングで、肩甲骨を背中側で支える感覚を作ります。

6. 体幹トレーニング

デッドバグやハンドレッド準備で、姿勢を体幹から支えられるようにします。

7. 立位姿勢の確認

最後に立った状態で、レッスン前後の姿勢の違いを確認します。
胸が開きやすくなった、首が長く感じる、肩が下がった、呼吸がしやすいと感じる方もいます。


具体例:デスクワークで巻き肩が気になる方

30代女性。
1日中パソコン作業が多く、夕方になると肩こりや首の重さを感じる。写真を見ると、肩が内側に入り、首が前に出ているのが気になる。

この場合、ただ背中を鍛えるだけではなく、まずは胸の前側と肋骨の硬さを確認します。

レッスンでは、最初に仰向けで呼吸を行い、肩の力を抜きます。次に、胸椎を動かすエクササイズを入れて、背中の上部を伸ばしやすくします。その後、リフォーマーでチェストエクスパンションやローイングを行い、肩甲骨を背中側で安定させます。

レッスン後には、肩を無理に後ろへ引かなくても、自然と胸が開きやすくなる感覚を目指します。


具体例:産後から猫背が気になる方

40代女性。
抱っこや家事で前かがみ姿勢が増え、背中の丸まりと肩の内巻きが気になる。腰も反りやすく、胸を張ろうとすると腰がつらくなる。

この場合は、胸を開くことだけでなく、骨盤と肋骨の位置を整えることが大切です。

レッスンでは、まず呼吸で肋骨の動きを整え、骨盤が前に倒れすぎないように体幹を使います。そのうえで、胸椎を動かし、肩甲骨を安定させるメニューを行います。

胸を張るのではなく、「肋骨を整えて、背骨を長く保つ」感覚を身につけることで、腰に負担をかけずに姿勢改善を目指します。


ピラティスで目指すのは“頑張って良い姿勢”ではなく“自然に整う姿勢”

猫背・巻き肩を改善しようとすると、多くの方が「胸を張る」「肩を後ろに引く」と考えがちです。
しかし、それだけでは肩や腰に余計な力が入り、長続きしません。

ピラティスでは、呼吸・背骨・肩甲骨・体幹をバランスよく整えます。
そのため、無理に姿勢を作るのではなく、自然と背筋が伸び、肩が開きやすい身体を目指せます。

運動習慣としては、筋力や持久力を保つために週2日以上の筋力トレーニングが推奨されており、姿勢改善においても継続が大切です。


まとめ

猫背・巻き肩は、単なる見た目の問題ではなく、胸まわりの硬さ、背骨の動きにくさ、肩甲骨の不安定さ、呼吸の浅さ、体幹の弱さなどが関係しています。

ピラティスでは、

  • 呼吸で首・肩の力を抜く
  • 胸椎を動かして背中の丸まりを整える
  • 胸の前側をゆるめる
  • 肩甲骨を安定させる
  • 体幹で姿勢を支える
  • 日常姿勢に落とし込む

という流れで、猫背・巻き肩にアプローチしていきます。

「姿勢を良くしたいけど、何をすればいいかわからない」
「肩こりや首の疲れが気になる」
「写真に写った自分の姿勢を見て気になった」

そんな方は、まずは自分の姿勢のクセを知ることから始めてみましょう。ピラティスなら、一人ひとりの身体に合わせて、無理なく姿勢改善を目指せます。


※痛み・しびれ・強い違和感がある場合は、運動を始める前に医療機関へ相談してください。ピラティスは治療行為ではなく、姿勢や身体の使い方を整えるための運動です。

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